アスベストの人体への影響 - 潜む致死的リスクと予防対策

生活環境の中で身近にあるアスベストの危険性について深く理解しておく必要があります。アスベストによる健康被害は深刻であり、適切な予防対策を講じることが重要です。このブログでは、アスベストの危険性、健康被害、ばく露経路、被害者への救済制度などについて詳しく解説します。アスベスト問題への理解を深め、安全な生活を送るための知識を得ることができます。

1. アスベストの危険性

アスベストは、建物のリフォームや解体時に特に注意が必要な非常に有害な危険物です。以下では、アスベストの危険性について詳しく説明します。

アスベストの特性

アスベストは非常に細かな繊維からなり、耐熱性や耐久性、耐摩耗性などの特性を持っています。これらの特性は、建物の建材や断熱材に使用される理由ですが、同時にアスベストの危険性も引き起こす原因となっています。

アスベストの飛散リスク

アスベストは飛散することで危険な健康被害を引き起こす可能性があります。アスベストの飛散リスクは、以下の3つのレベルに分けられます。

・レベル1:最も危険なレベルで、吹き付けアスベストが含まれます。
・レベル2:アスベストを含む保温・断熱材などが含まれます。
・レベル3:アスベストを含む成形板などが含まれます。

アスベストによる健康被害

アスベストを吸入することによって引き起こされる健康被害は、以下の5つです。

アスベスト肺

長期間のアスベストの吸入によって肺の線維化が引き起こされる病気です。

肺がん

アスベスト繊維の刺激によって肺細胞ががん化する可能性があります。

中皮腫

アスベストを吸い込んだ人によく見られる、胸膜や腹膜などにできる悪性の腫瘍です。

良性石綿胸水

胸膜炎によって胸膜腔内に水がたまる病気であり、症状がない場合もあります。

びまん性胸膜ひこう

アスベストによる胸膜炎が進行し、胸膜が硬くなり肺のふくらみを妨げる病気です。
これらの健康被害は、アスベストを長期間吸入した場合に発症することが一般的であり、潜伏期間も15〜50年と言われています。

アスベストの危険性を理解し、対策を取ることは安全な生活のために非常に重要です。建築や解体作業などでアスベストに接する際には、必ず適切な保護対策を行いましょう。

2. アスベストによる主な健康被害

アスベストは、長期間のばく露によって様々な健康被害を引き起こす可能性があります。以下では、アスベストによる主な健康被害を紹介します。

石綿肺

石綿肺は、アスベスト繊維が肺に入り込んで炎症を引き起こし、肺組織に傷をつける病気です。主な症状としては、咳や息切れ、呼吸困難などが挙げられます。アスベストによる石綿肺は、潜伏期間が数十年にも及ぶことがあり、重篤な症状が出るまで気付かない場合があります。

肺がん(原発性肺がん)

アスベストは、長期間のばく露によって肺がんの発症リスクを増加させます。特に、喫煙者との併用や他の致癌物質との共同ばく露がある場合には、肺がんの発症リスクがさらに高まることが知られています。

中皮腫

中皮腫は、アスベスト繊維が胸膜や腹膜に入り込んで引き起こされるがんです。主な症状は、胸痛や胸水、腹痛などがあります。中皮腫は、石綿肺や肺がんよりも発症リスクが低いですが、その重篤性から予後が悪く、早期発見・治療が重要です。

びまん性胸膜肥厚

アスベスト繊維が長期間肺に滞留することによって、胸膜が厚くなる病態をびまん性胸膜肥厚と呼びます。主な症状は、胸部の圧迫感や息苦しさがあります。びまん性胸膜肥厚は、アスベストによる健康被害の一つであり、石綿肺や中皮腫と同様に重篤な疾患です。

良性石綿胸水

アスベストによる刺激によって、胸膜に水分がたまる病態を良性石綿胸水と呼びます。主な症状は、胸の圧迫感や呼吸困難、胸膜摩擦音が現れます。良性石綿胸水は、アスベストにさらされた労働者やその家族によく見られる疾患であり、中皮腫とは異なり予後が比較的良好です。

これらの疾患は、アスベストに長期間ばく露した場合に発症する可能性があります。アスベストのばく露は職業的なものだけでなく、家庭内ばく露や近隣の環境ばく露によるものもあります。したがって、アスベスト被害のリスクについては、注意が必要です。

3. アスベストへのばく露の経路

アスベストへのばく露は、さまざまな経路を通じて起こります。以下では主なばく露の経路について紹介します。

職業ばく露

アスベストに最も多く曝されるのは、アスベストを扱う職業に従事している人々です。鉱山でのアスベストの採掘作業、工場でのアスベストの断熱作業や製造・加工作業、造船場や車両工場でのアスベストの取り扱い、アスベスト含有建材を用いた建設作業などがその主な例です。これらの職業に従事していた人々は、長期間にわたりアスベストにばく露していた可能性が高いです。

家庭内ばく露

アスベストを扱う職業に従事している人の家族も、アスベストにさらされる危険性があります。例えば、アスベスト工場で働く人の作業着を毎日洗濯していた人や、アスベストが入っていた袋を自宅で使用していた人などです。

近隣ばく露

アスベスト工場やアスベスト鉱山の近くに住んでいる人も、アスベストにさらされる可能性があります。アスベスト工場から排出されたアスベスト粉じんにばく露して、「クボタショック」と呼ばれる中皮腫の発症例が報告されています。ただし、現在はアスベストの規制がなされており、工場の周辺に住む人々の健康への影響はないとされています。

これらの経路を通じて、アスベストにばく露する可能性があります。アスベストへのばく露は健康に深刻な影響を与えることがありますので、適切な対策と予防が必要です。

4. アスベスト被害者への救済制度

アスベスト被害者への救済を目的とした制度は、以下の方法で提供されています。

建設アスベスト給付金法

建設アスベスト給付金法は、アスベスト被害者の救済を目的とした法律です。この制度によって救済されるためには、以下の要件を満たす必要があります。

・アスベストにさらされる建設業務に従事していたこと
・アスベスト関連疾病に罹患していること
・労働者、一人親方、または中小事業主であること

給付金の額は症状によって異なり、550万円から1300万円となっています。

国とのアスベスト訴訟の和解手続

アスベスト被害者は、国に対して訴訟を起こすことにより、和解手続を利用することができます。和解手続を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

・局所排気装置を設置すべき石綿工場内でアスベストにさらされる作業に従事したこと
・アスベストによる健康被害を受けたこと
・損害賠償請求権の有効期間内に訴訟を起こしたこと

和解による賠償金の額も症状によって異なり、550万円から1300万円となります。

労災の申請

アスベストを吸入して病気が発症した場合、労働災害(労災)の申請が可能です。労災の対象となる疾病には、石綿肺、原発性肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水があります。労災の対象となるためには、アスベストを取り扱う業務に従事していたことが必要です。

具体的な労災の対象となる業務には、石綿鉱山での作業や石綿製品の製造工程などが含まれます。

石綿健康被害救済法による給付

労災保険給付や労災申請ができない場合や、労災給付の申請期限を過ぎた場合には、石綿健康被害救済法に基づいて給付が行われます。この救済制度は、石綿関連疾病に罹患した方やその遺族に対し、給付金を支給するものです。

会社に対して損害賠償を請求

勤務先の会社やアスベスト製造メーカーに対して、損害賠償請求をすることも可能です。ただし、証拠の確保や複数の会社で働いていた場合など、問題点も存在します。損害賠償請求の可能性を確認するためには、弁護士に相談することが重要です。

以上が、アスベスト被害者への救済制度の一部です。アスベスト被害者は、自身の状況に合わせた救済制度を活用し、必要な支援を受けることが重要です。

5. アスベスト問題への取り組み

現在、アスベスト問題に対する取り組みが国や地方自治体を中心に行われています。以下に、アスベスト問題への取り組みの一例を紹介します。

アスベスト禁止規制の強化

アスベスト製品の輸入・製造の禁止規制が強化されました。労働安全衛生法により、アスベストを含む製品の輸入・製造が禁止されました。さらに、一定の重量以上含有する製品やアスベストを0.1%を超えて含有する物の輸入・製造が全面禁止となりました。また、吹付けアスベストや石綿含有ロックウールの使用も禁止されました。

解体工事における規制の強化

アスベストを使用した建物の解体工事には、石綿飛散を防止するための基準が定められています。解体工事前には事前調査が必要であり、一定規模以上の工事では報告が必要です。また、アスベストを含む建材などを解体する際には石綿飛散防止対策が必要です。吹付けアスベストや石綿含有断熱材に関しては、都道府県への届出が義務付けられています。

情報提供・啓発活動の充実

アスベスト問題に関する情報提供や啓発活動が充実しています。政府や地方自治体、厚生労働省などが積極的に情報を発信し、一般市民や建築業者に対してアスベストの危険性や適切な対策方法について啓発しています。また、アスベスト関連の相談窓口や専門機関も設置され、必要な情報や助言を提供しています。

アスベスト除去の促進

アスベストを含む建物や製品の除去が促進されています。政府や地方自治体が助成金や融資制度などを活用して、アスベストの除去を支援しています。また、アスベスト除去作業の技術や安全管理の向上にも取り組まれており、専門業者の育成や作業基準の整備が行われています。

まだアスベスト問題は完全に解決されていませんが、法制度や技術の進歩により被害の軽減や予防対策が進んでいます。引き続き、関係機関や一般市民が協力してアスベスト問題の解決に向けて取り組んでいくことが重要です。

まとめ

アスベストは非常に危険な物質であり、その健康への深刻な影響が明らかになっています。過去にはアスベストの使用が広範に広まり、多くの被害者を生み出してきました。しかし、近年の法規制の強化やアスベスト対策の充実により、新たな被害の発生を防ぐことができるようになってきています。一人一人がアスベストの危険性を理解し、適切な対策をとることが重要です。アスベスト問題の解決に向けて、国や地方自治体、関係者が一丸となって取り組んでいく必要があります。


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