アスベスト事前調査の対象外とは

アスベストは建材の中に含まれる可能性があり、人体に重大な影響を与える危険な物質です。そのため、建築物の解体や改修工事を行う前には、法令に基づきアスベスト事前調査を実施する必要があります。このブログでは、アスベスト事前調査の重要性や具体的な手順、報告義務などについて詳しく解説しています。アスベストに関する正しい知識を持つことは、作業員や周囲の方々の健康と安全を守るために欠かせません。

1. アスベスト事前調査とは

アスベスト事前調査は、特定の工事において必要な手続きです。この調査は、事前に工事を行う建材や施設にアスベストが含まれているか確認するために行われます。

アスベストとは

アスベストは、がんや呼吸器系の疾患を引き起こす有害物質です。かつて特定の建材や断熱材に使用されていましたが、その健康リスクが明らかになったため、現在は使用が制限されています。

事前調査の目的

アスベストが含まれている建材や施設で工事を行うと、アスベストが飛散する恐れがあり、作業員や周囲の人々の健康リスクが増大します。そのため、事前調査は作業員と周囲の人々の健康と安全を守るために行われます。

調査方法

事前調査では、以下の方法を用いてアスベストの有無を詳細に調査します。

設計図書の調査

・現地での視察
・建材のサンプリングと分析

これらの調査結果は、労働基準監督署や地方自治体に報告する義務があります。

重要性と法的義務

アスベスト事前調査は、作業員と周囲の人々の健康と安全を守るために非常に重要です。また、法律によって事前調査が義務化されている場合もあります。正確な調査を行い、結果を報告することは必要不可欠です。

以上が、アスベスト事前調査の概要です。次に、事前調査が不要な場合や報告義務について詳しく解説していきます。

2. 事前調査が不要な場合

アスベストの飛散リスクがない場合には、例外的に事前調査は不要となる場合があります。以下では、アスベスト事前調査が不要となる例外的なケースについて説明します。

アスベスト事前調査が不要な例外的なケース

通常、アスベスト事前調査は必要ですが、以下のような例外的なケースでは調査が不要とされることがあります。

建物の材料にわずかな損傷しかない場合、例えば釘の抜き差しを行う場合など。
ただし、これらは例外であり、ほとんどの場合は事前調査が必要となります。
「書面調査」以降のアスベスト事前調査が不要な場合
もし建築物が2006年9月1日以降に着工・建設されていることが設計図書等で確認できる場合、それ以降のアスベスト事前調査は不要です。また、築年数が浅い建物でも一定の工事を行う場合はアスベスト事前調査結果の報告が必要です。

アスベスト事前調査結果の報告方法

アスベスト事前調査結果の報告は、「石綿事前調査結果報告システム(厚生労働省)」から電子申請することが原則となっています。2022年4月1日以降はアスベスト事前調査結果の報告が義務化されており、詳細については別の記事をご確認ください。

以上がアスベスト事前調査が不要とされる場合や必要な場合についての解説です。事前調査の要否には細かな条件がありますので、オーナーは適切な手続きを理解する必要があります。ご不明な点があれば、最寄りの自治体にお問い合わせください。

3. 目視や書面調査が不要な場合

アスベスト事前調査には通常、目視調査と書面調査の2つが必要ですが、一部の場合にはこれらの調査は不要です。

アスベスト事前調査自体が不要な場合

以下の作業や材料に該当する場合、アスベスト事前調査は必要ありません。

・除去作業が木材、金属、石、ガラスなどの材料で構成されていて、手作業や電動工具で容易に取り外せる場合で、周囲の材料が損傷する可能性がない場合(例:取付金具の取り外し)
・材料にごく軽微な損傷しか与えない作業の場合(例:釘抜き、釘打ち)
・既存の材料を除去せず、新たな材料を追加するだけの作業の場合(例:既存の仕上塗材や下地調整材の除去を伴わない外壁塗装)
・国交省などが石綿を使用していないことが確認済みの工作物の解体や改修工事の場合(ただし、石綿が含まれている可能性のある壁面などを電動ドライバーで穴を開ける場合は、アスベスト事前調査が必要)

アスベスト事前調査自体が不要な場合は限られた条件に該当しますが、上記の条件を満たす場合は調査は不要です。

書面調査以降のアスベスト事前調査が不要な場合

建築物を解体や改修する場合、建物建築の着工日が2006年9月1日以降であれば、書面調査のみでアスベスト事前調査が完了となります。

ただし、一部の工作物には異なる着工日が適用されるため、ガスケットやグランドパッキンを含む場合には注意が必要です。

築年数が比較的新しい場合でも、一定規模以上の工事を行う場合はアスベスト事前調査結果の「報告」が必要となります。報告は原則として「石綿事前調査結果報告システム(厚生労働省)」を通じて電子申請することとなります。

ポイント

目視調査や書面調査が不要となるケースは少ないですが、特定の作業や材料に該当する場合はアスベスト事前調査自体が不要です。また、2006年9月1日以降に建設された建築物では書面調査のみで事前調査が完了しますが、一定規模以上の工事には事前調査結果の報告が必要です。報告は電子申請によって行います。

アスベスト事前調査の要否を確認するためには、具体的な工事や使用する材料について事前に調査することが重要です。誤解や勘違いを避けるため、正確な情報をもとに事前調査を適切に実施してください。

4. 事前調査結果の報告義務

アスベスト事前調査結果の報告には、特定の義務が課されています。以下に、報告の要件をまとめました。

報告の範囲

アスベスト事前調査結果の報告は、特定の条件を満たす工事に対して必要となります。以下は、報告の対象となる主な工事です。

解体工事

解体部分の延床面積が80㎡以上の建築物の解体工事

改修工事

請負金額が税込100万円以上の建築物の改修工事

特定の工作物の解体または改修工事

反応槽、加熱炉、ボイラー、圧力容器、配管設備(給水・排水・換気・暖房・冷房・排煙設備を除く)、焼却設備、煙突(排煙設備を除く)、貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備を除く)、発電設備(太陽光発電設備・風力発電設備を除く)、変電設備、配電設備、送電設備(ケーブルを含む)、トンネルの天井板、プラットホームの上家、鉄道の駅の地下式構造部分の壁・天井板

船舶の解体または改修工事

総トン数が20トン以上の船舶(鋼製)の解体又は改修工事
上記の工事に該当する場合、アスベスト事前調査の結果を報告する必要があります。

報告の責任者と期限

アスベスト事前調査結果の報告は、元請業者が行う責務となります。つまり、アスベストの事前調査や分析業務を外部に発注していた場合でも、その結果を基に元請業者が報告を行わなければなりません。

報告期限は、解体等工事に着手する前までとされています。具体的な日数は厳密に定められていませんが、工事の開始予定日の少なくとも2週間前に報告を行うことが一般的とされています。

報告方法

アスベスト事前調査結果の報告は、石綿事前調査結果報告システムを利用して行います。このシステムは、厚生労働省および環境省が提供しており、オンラインで電子申請を行うことが可能です。

具体的な報告手続きやシステムの使い方については、石綿事前調査結果報告システムの公式ウェブサイトを参照してください。

罰則

アスベスト事前調査結果の報告は法律で義務付けられており、適切な報告を怠ると最大30万円の罰金が科せられることがあります。したがって、報告義務を適切に遵守することは重要です。

また、2023年10月からはアスベスト診断士や建築物石綿含有建材調査者などの資格を持つ者のみが調査を実施できるようになる予定です。

以上、アスベスト事前調査結果の報告についての概要をまとめました。報告の義務を遵守することで、安全な工事の実施と環境への配慮が促進されます。

5. アスベスト分析のポイント

アスベスト分析を行う際には、以下のポイントに注意が必要です。

分析手法の選択

アスベストの有無を確定するためには、JIS A 1481-1(JIS-1)やJIS A 1481-2(JIS-2)の分析が必要です。JIS-1は層状のアスベストの有無を判定する手法であり、適切な対策を講じることも容易です。安全性を考慮すると、JIS-1の使用が推奨されます。

分析の精度とスピード

アスベスト分析では、精度とスピードが非常に重要です。高性能な機器を使用し、複数の資格者によるクロス分析を行うことが重要です。また、結果の報告書はわかりやすく作成し、試料の外観写真や断面写真、層別の分析結果をまとめることで、分析結果の内容を明確に示すことも大切です。

安全性への配慮

アスベストの事前調査や分析作業では、安全性への配慮が必要です。作業現場でのアスベストの取り扱いは、厳格な安全基準を遵守しながら行う必要があります。熟練の有資格者による作業や、最新の技術を使用することで、作業の安全性を確保することができます。

石綿含有建材調査アプリの活用

アスベストの事前調査には、石綿含有建材調査アプリの活用も有益です。AI(人工知能)を使用したアプリは、最短30秒で建材のアスベストの有無を判定することができます。これにより、工事現場で手軽にアスベストの有無を確認することができます。

信頼性と経験

アスベスト分析は、信頼性と経験を持つ専門の会社に依頼することが重要です。分析実績や顧客の満足度の高い会社を選ぶことで、安心して作業を任せることができます。

安全性や精度を確保しつつ、アスベスト分析を迅速に行うことが求められます。これらのポイントを留意しつつ、専門の会社に依頼することで、アスベスト問題への対応を円滑に進めることができます。

まとめ

アスベスト事前調査は建築工事において重要な手順です。この調査は作業員と周囲の人々の健康と安全を守るために行われます。調査の要否や報告義務には細かな条件がありますが、適切な実施が求められます。また、アスベスト分析においては精度と安全性が重要です。専門の会社に依頼し、最新の技術や資格者を活用することで、円滑な工事遂行が可能となります。アスベストへの正しい理解と適切な対応を心がけることが、安全で健康的な施工につながります。

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