生活に潜むアスベストの危険性と安全なグラスウールの活用術

近年、建物の断熱材としてグラスウールやロックウールが広く使用されるようになりました。一方で、かつては断熱材としてアスベストが使われていましたが、発がん性が指摘されて使用が禁止されています。本ブログではアスベストとグラスウール・ロックウールの違いや、アスベストの歴史と健康被害、使用箇所と製品、それらの見分け方などについて詳しく解説します。

1. アスベストとグラスウールの違い

アスベストとグラスウールは、断熱材として使われる素材ですが、以下の点で異なります。

天然と人工の違い

アスベストは天然素材であり、自然に生まれた結晶性鉱物繊維です。一方、グラスウールは人工的に作られた非結晶性繊維の断熱材です。

繊維の太さの違い

アスベスト繊維は非常に細く、髪の毛の5000分の1程度の太さです。対して、グラスウールの繊維は4〜8ミクロン程度の太さです。

発がん性の有無の違い

アスベストは発がん性があり、国際がん研究機関によってヒトに発がん性があるグループ1に分類されています。一方、グラスウールには発がん性は確認されておらず、ヒトに発がん性があるとは分類されていません。

これらの特性から、アスベストとグラスウールは異なる性質を持っています。アスベストはかつて断熱材として広く使用されていましたが、その発がん性のために現在は使用が禁止されており、代わりに非アスベストの断熱材が使用されています。一方、グラスウールはアスベストに比べて安全性が高く、体内に入りにくい特徴があり、幅広い用途で使用されています。

2. アスベストの歴史と健康被害

アスベストの使用は昔から広く行われてきましたが、その後、アスベストによる健康被害が明らかになり、現在では使用が禁止されています。アスベストが引き起こす主な健康被害は、肺がんや悪性中皮腫といった疾患です。吸い込んだアスベスト繊維が肺に長く滞留し、繊維ががん細胞を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

アスベストの歴史は、昭和50年までさかのぼります。当時、アスベストは優れた保温性・断熱性・防音性を持ち、建築物や船舶、自動車などの製造に広く使用されていました。しかし、飛散したアスベストの繊維を吸い込むと健康被害が出ることが判明し、アスベストの使用と製造は禁止されるようになりました。現在では、アスベストを含む建材や製品の除去作業も規制が厳しくなりました。

アスベストの健康被害は、石綿特有の疾病を引き起こすことがわかっています。アスベストは細かな繊維で構成されており、肉眼で見ることができません。吸入したアスベストは肺の組織内に長く滞留しやすく、肺がんやじん肺などの疾患を引き起こす可能性があります。そのため、アスベストを含む建材や製品を取り扱う際には、専門業者による事前の調査や適切な除去が必要です。

アスベストによる健康被害が明らかになってからは、アスベストの危険性は広く認知されるようになりました。一方で、グラスウールやロックウールなどの断熱材は、アスベストとは異なる成分と安全性を持っています。国際がん研究機関による評価でも、アスベストは発がん性があるとされていますが、グラスウールやロックウールは発がん性や有害性が確認されていません。そのため、アスベストを除去する際には、適切な素材の判断が重要です。アスベストとグラスウール・ロックウールの違いについては後の項目で詳しく解説します。

3. アスベストの使用箇所と製品

アスベストは、さまざまな場所や製品で使用されています。以下では、アスベストが使用されている箇所と製品の一部を紹介します。

建築物におけるアスベストの使用箇所

建築物では、アスベストが学校、講堂、病院などの公共施設や耐火構造物の屋根、天井、壁などに使用されていました。また、一般の住宅でも屋根材や天井材、床材などにアスベストが使われていることがあります。

アスベスト含有製品の種類

以下は一部のアスベスト含有製品の種類です。

① 石綿含有保温材
・珪藻土保温材
・パーライト保温材
・バーミキュライト保温材
② 石綿含有摩擦材
・クリソタイル
・石綿布を樹脂で固めたもの
③ 石綿セメント製品
・パイプ状の製品(煙突、排気管、上下水道用の高圧管など)
④ シール材・ジョイントシート
・タンクやパイプラインのシール材やガスケットなどのジョイントシート
⑤ 石綿紙・石綿リボン
・石綿紙(ビニール床タイルの裏打ち材、電気絶縁材、隔膜などに使用)
・石綿リボン(歯科技工などに使用)
⑥ その他の石綿含有建材製品
・鉄骨などの吸音、結露防止材、内装・外装材など

また、吹きつけ石綿と呼ばれるアスベスト含有の材料もあります。特に吹きつけ石綿は、アスベストを含む材料の中で最も危険性が高いとされています。

アスベスト含有材料の見分け方

アスベストを含む材料を特定するには、建築年数を参考にすることがあります。以下は建築年数に基づいたアスベスト含有材料の目安です。

・吹きつけアスベスト・・・1956年から1975年頃までの築年数の建物に使用されている可能性が高い
・吹きつけロックウール・・・1975年から1990年頃までの築年数の建物に使用されている可能性が高い
・塩化ビニール石綿床タイル・・・1955年から1989年頃までの築年数の建物に使用されている可能性が高い
・石綿含有摩擦材・・・2004年以降は輸入禁止となったため、それ以降の製品には含まれていない

ただし、材料の見分けは難しい場合がありますので、専門の調査会社や有資格者による分析が必要です。

4. グラスウールとロックウールの特徴

グラスウールとロックウールは、建築物の断熱材としてよく使用される材料ですが、それぞれに固有の特徴があります。

グラスウールの特徴

グラスウールは、ガラスを高温で溶かして繊維化したものです。
繊維の太さは4〜9マイクロメートルで、ロックウールと似ています。
グラスウールは、優れた断熱性、吸音性、耐火性を持ち、住宅の断熱材として広く利用されています。
環境に優しい素材であり、リサイクルガラスを材料として使用しています。

ロックウールの特徴

ロックウールは、高炉スラグや玄武岩などの天然岩石を溶かして作られた鉱物繊維です。
繊維の直径は約3〜6マイクロメートルです。
ロックウールは、優れた吸音性、断熱性、耐火性を持っています。
グラスウールと比較すると高い密度を持ち、主に防音材として使用されます。
以上のように、グラスウールとロックウールは断熱性や耐火性に優れており、繊維の太さも似ています。ただし、触ったり、酸をかけてみたり、顕微鏡で観察することでその違いを判断することができます。なお、アスベストが含まれている可能性があるロックウールは、1989年以前に作られたものに限りますので、注意が必要です。最終的な判断は専門業者に相談しましょう。

5. アスベストとグラスウール・ロックウールの見分け方

アスベストとグラスウール・ロックウールは外見が似ているため、目視で判断するのは難しいです。しかし、いくつかの方法を使って見分けることができます。

指で触る方法

アスベストは指で触っても砕けずに繊維状のままですが、グラスウール・ロックウールは触ると粉々になります。素材を手のひらに載せて指でこすり、砕けずに繊維状のままであればアスベストの可能性が高いです。

酸をかける方法

アスベストは酸(例えばお酢など)をかけても溶けませんが、グラスウール・ロックウールは溶けます。酸をかけた後、溶けない素材であればアスベストの可能性があります。

顕微鏡を使う方法

顕微鏡を使用して素材を観察することで、アスベストとグラスウール・ロックウールの違いを見分けることができます。アスベストは直径の細い繊維が束になっているのに対して、グラスウール・ロックウールは棒状で繊維の直径が太く、束にはなっていません。

これらの方法を使ってアスベストとグラスウール・ロックウールを見分けることができますが、注意が必要です。特にロックウールには過去にアスベストが使用されていたものもありますので、素材を正確に判断するためには専門の調査会社に依頼することが必要です。

まとめ

アスベストとグラスウール・ロックウールは断熱材として使用される素材ですが、その性質は大きく異なります。アスベストは発がん性が高く危険な天然鉱物繊維であるのに対し、グラスウールやロックウールは人工的に作られた安全な非結晶性繊維です。これらの違いを理解し、建材の種類を適切に判別することが重要です。専門家による事前調査と適切な取り扱いを行い、健康被害を防ぐことが不可欠です。アスベストの危険性が広く認知されるようになった今、安全性の高い建材への移行は着実に進んでいます。建築物の改修や解体作業を行う際は、素材の見分け方と正しい処理方法を確認し、アスベスト問題に十分注意を払うことが重要です。

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