アスベスト調査の義務化。建設現場で知っておくべき最新情報

アスベストは長年にわたり建築物などで使用されてきましたが、人体に深刻な影響を及ぼすことが判明しています。近年、アスベストの危険性が見直されており、アスベスト事前調査の義務化など、対策が進められています。このブログでは、アスベストの危険性、法改正の経緯、調査の対象となる工事、必要な資格などについて詳しく解説していきます。アスベスト問題への理解を深めることで、健康被害を防ぐための適切な対策を立てることができるでしょう。

1. アスベストとは何か?その危険性

アスベスト(石綿)は、自然界に存在する繊維状のケイ酸塩鉱物です。建築や産業の分野で広く利用されてきましたが、その使用には危険性が伴います。

アスベストの特徴は、断熱性や耐火性、吸音性などに優れていることです。これらの特性から、建築材料や断熱材、耐熱材、防音材などに広く使用されていました。しかし、アスベストを吸い込むと深刻な健康被害が引き起こされる可能性があります。

アスベストを吸入すると、肺がんや悪性中皮腫、石綿肺などの疾患を引き起こすリスクがあります。特に、これらの疾患はアスベストが肺に蓄積し、症状が現れるまでに潜伏期間がかかる特徴があります。中皮腫の場合には、発病までに平均35年程度かかることが知られており、非常に潜在的な危険性があると言えます。

アスベストによる健康被害を防ぐため、日本ではアスベストの製造・輸入・新規使用が禁止されています。また、労働安全衛生法もアスベストを含む建材の製造・使用を禁止しています。これらの規制は、アスベストによる健康被害を防ぐために重要な措置です。

しかしながら、過去に多くの建築物でアスベストが使用されていたため、特に高度成長期に建てられた建物には大量のアスベストが残存しています。そのため、工事の際にはアスベスト調査が義務付けられています。

アスベスト調査の義務化により、建物の所有者や施工業者はアスベストの有無を確認する必要があります。もしアスベストが検出された場合、専門の業者による除去や封じ込めが必要となります。アスベスト被害を最小限に抑えるためにも、アスベスト調査と適切な対策の取り組みが非常に重要です。

アスベストの危険性について正しい理解を深め、適切な対策を実施することで、健康被害を最小限に抑えることができます。建物の安全性を確保するためにも、アスベスト問題に対して社会全体で取り組む必要があります。

2. アスベスト調査義務化の経緯と施行時期

アスベストの調査・報告の義務化は、アスベスト法改正を通じて進んできました。アスベスト法の改正は2006年から行われ、2021年から施行が開始されました。

アスベスト法改正の背景

アスベストは、その繊維が人体に取り込まれることによって、深刻な健康被害を引き起こすことが知られています。このため、アスベスト問題への対応が重要視され、アスベスト法の改正が行われることとなりました。

2021年改正の内容

2021年のアスベスト法改正では、アスベストの事前調査が義務化されました。これにより、建築物の解体・改修工事においてもアスベスト事前調査が必要とされるようになりました。

具体的には、2022年4月からは事前調査の報告が義務づけられ、2023年10月からは事前調査には専門の資格が必要とされました。これにより、アスベストに関する規制が厳格化されました。

大気汚染防止法の改正との関係

アスベスト問題は、大気汚染防止法の改正の一環としても取り上げられました。2021年4月からはレベル3建材も規制対象となり、アスベスト事前調査が強化されました。

また、2022年4月からはアスベスト事前調査・報告が義務化され、2023年10月からは有資格者によるアスベスト事前調査が義務化されることとなりました。

法律と規制の遵守の重要性

これらの改正により、アスベスト問題への対応が広がり、企業や個人はアスベストによる健康被害を防ぐために、アスベスト調査の義務化に関する法律や規制を遵守する必要があります。これにより、建築物の安全性が確保され、人々の健康が守られることが期待されています。

3. アスベスト事前調査の対象となる工事

アスベスト事前調査は、建築物や設備の解体工事や改修工事(リフォームやリノベーション)の前に行われます。以下に、アスベスト事前調査の対象となる工事の一部を紹介します。

建築物の解体工事

解体部分の延べ床面積が80平方メートル以上の場合、アスベスト事前調査が必要です。

建築物の改修工事

請負金額が100万円以上の解体・改修工事では、アスベスト事前調査が義務付けられています。

非常用発電設備や煙突などの工作物の解体・改修工事

請負金額が100万円以上の場合、アスベスト事前調査が必要です。

配管設備やボイラーなどの特定の工作物の改修・解体・補修工事

請負金額が100万円以上の場合、アスベスト事前調査が義務付けられています。

これらの工事の際には、アスベスト事前調査が必要です。ただし、解体工事の場合は解体部分の延べ床面積が80平方メートル未満であれば、報告の義務はありません。また、改修・補修工事の場合も、請負金額が100万円未満であれば報告の義務はありません。

アスベスト事前調査の対象となる工事は、2023年10月1日以降に着工する建築物の解体・改修工事から義務化され、これによりアスベストの含有有無を確認するための調査が行われることになりました。なお、アスベスト含有の資材の使用は、2006年9月1日以降は禁止されています。

アスベスト事前調査の対象となる工事を行う際には、必ずアスベストの有無を確認し、事前調査の結果を報告することが重要です。安全な作業環境を確保するためにも、アスベスト事前調査の義務を遵守しましょう。

また、アスベスト事前調査が不要な場合もありますので、正確な情報を得るために、自治体の専門窓口に相談することをおすすめします。アスベスト事前調査の必要性や対象となる工事について、適切な判断を行いましょう。

4. アスベスト調査に必要な資格

アスベスト調査を行うためには、専門的な知識と特定の資格が必要です。2023年10月1日からは、建築物のアスベスト事前調査には特定の資格が必要となりました。資格を取得するためには、厚生労働省、国土交通省、環境省の講習の受講が必要であり、その後に試験に合格する必要があります。

以下に、アスベスト調査に必要な主な資格をまとめました。

石綿含有建材調査者

2023年10月1日からは、建築物のアスベスト事前調査を行うには、「石綿含有建材調査者」の資格が主に必要となります。この資格を取得するためには、建築関係の実務経験が必要となります。

石綿作業主任者

建築関係の実務経験がない場合でも、「石綿作業主任者」の資格を取得することで、「石綿含有建材調査者講習」を受講することができます。

日本アスベスト調査診断協会に登録された方

また、(一社)日本アスベスト調査診断協会に登録されている方もアスベスト事前調査を行うことができます。ただし、登録日が2023年9月30日以前であり、調査をする際も引き続き登録されていることが必要です。

以上がアスベスト調査に必要な資格です。2023年10月1日以降に着工する工事からは、これらの資格を持った者によるアスベスト事前調査が義務付けられています。そのため、資格の取得をお早めに行い、アスベスト調査に適格な専門家を確保することをお勧めします。

5. アスベスト調査の流れと手順

アスベスト調査には、以下の手順を踏んで進めます。

① 専門家の依頼

まずは、アスベストに関する知識と建築物の調査に詳しい専門家に依頼しましょう。建築物アスベスト含有建材調査者やアスベスト作業主任者などが適任です。2023年10月以降は、厚生労働省が実施するアスベスト調査の講習を修了していることが追加条件となります。

② 書面と現地調査

調査の第一ステップは書面調査です。施工図や設計図書などの文書を基にして、アスベストの使用有無を確認します。ただし、書面だけではなく、実際に建物を訪れ、部屋や部位ごとの状況を目視で確認することも重要です。場合によっては、現地でサンプルを採取し、アスベストの定性分析を行います。

③ 報告書の作成

調査結果を元に、報告書を作成します。報告書は労働基準監督署や自治体に提出する必要があります。報告書は解体工事開始の14日前までに提出しなければなりません。また、報告書の保存期間は3年間です。解体工事を行う場合は、工事に関わる全ての建材についてアスベストの有無を掲示する必要があります。

アスベスト調査の手順は以上です。アスベスト法の改正により、調査と報告が義務化されました。これにより、アスベスト被害を未然に防ぐことが可能です。調査の依頼、書面調査や現地調査、報告書の作成といった一連の流れを正確に行うことが重要です。専門家のアドバイスを受けながら、丁寧な調査を行いましょう。

まとめ

アスベストは危険な物質であり、健康被害を引き起こす可能性があります。近年、アスベスト調査の義務化が進み、建物の解体や改修工事の際にはアスベストの有無を確認することが重要になっています。適切な資格を持った専門家に調査を依頼し、建材の分析や報告書作成を行うことで、アスベストによる健康被害を最小限に抑えることができます。建物の安全性を確保し、人々の健康を守るためにも、アスベスト問題への対策を確実に実施することが求められています。

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