新アスベスト規制を完全理解!建設現場の安全対策と健康被害予防

建築物の解体や改修工事において、アスベストが含まれる建材の扱いには細心の注意が必要です。本ブログでは、アスベストとは何か、その規制の歴史、新しいアスベスト規制の概要、事前調査の重要性、アスベスト対策工事の流れなどについて詳しく解説します。アスベストへの適切な対応は、作業者や一般市民の健康被害を防ぐために欠かせません。本ブログの内容を通じて、アスベストに関する理解を深めていただければ幸いです。

1. アスベストとは何か?

アスベストは、特に耐火性や断熱性に優れた繊維状の鉱物です。そのため、建築や工業製品の材料として幅広く利用されてきた素材です。アスベストの繊維は非常に細かく、耐熱性や耐久性にも優れているため、数十年以上にわたり「奇跡の鉱物」とも称されてきました。

アスベストは建物の外壁や屋根、鉄骨の柱や梁、機械室など、さまざまな場所で吹き付け材や成形材、断熱材、吸音材として使用されていました。また、自動車や家電製品の部品、絶縁材などにも利用されていました。2005年の調査によると、当時185社774製品にアスベストが使用されていたことが判明しています。

しかし、アスベストは人体に対して非常に有害な物質であり、肺の疾病の原因になることが明らかにされています。特に、アスベストの繊維は非常に細かいため、作業中に飛散しやすく、吸引されると長期間肺に留まります。その結果、石綿肺や肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚などの疾病を引き起こす危険性が高まります。

こうしたアスベストの危険性が認識されるにつれ、アスベストの規制が進められてきました。次の項目で、アスベスト規制の歴史や新たな規制の概要について詳しく説明します。

2. アスベスト規制の歴史

アスベスト規制の歴史は、日本ではじん肺法の制定から始まりました。1960年に制定されたじん肺法では、労働者の健康を保護するため、粉じん作業に従事する労働者への定期的な健康診断が義務化されました。これにより、じん肺や石綿肺などの肺の疾病リスクが明らかになりました。

その後、1971年に特定化学物質等障害予防規則(特化則)が制定されました。特化則では、アスベストを扱う作業場において、以下の対策が義務付けられました。

・局所排気装置の設置
・呼吸用保護具の備え付け
・特定化学物質等作業主任者の選任
・空気中の濃度測定の実施

続いて、1972年には労働安全衛生法(安衛法)が制定され、アスベスト被害の防止策が強化されました。安衛法では、労働者の健康診断費用の負担軽減や局所排気装置の自主検査の実施が明記されました。

特化則は1975年に改正され、アスベストの吹き付け作業が原則として禁止されました。この改正により、吹き付け作業は事実上不可能になりました。また、局所排気装置の性能要件の改善や作業環境測定記録の保存期間の延長も行われました。

さらなるアスベスト規制の強化が行われたのは、1995年の安衛令、安衛則及び特化則の改正です。この改正により、以下の項目が導入されました。

・アモサイト、クロシドライトの製造、輸入、譲渡、提供、または使用の禁止
・吹き付け石綿の除去作業の事前届け出要件
・特化則で規制対象となるアスベスト含有量の拡大(1%以上)

さらに、2004年にはアスベスト製品の製造が10品目禁止され、2006年にはアスベスト製品の全面禁止が実施されました。これにより、アスベスト製品の製造や使用は実質的に禁止され、アスベスト被害の予防がより強化されました。

アスベスト規制の歴史を通じて、公衆の安全確保のために段階的な措置が講じられてきました。事業主と作業者はアスベストに関する危険性を正しく認識し、適切な対策を講じることで労働環境の安全性を向上させることが重要です。

3. 新しいアスベスト規制の概要

近年、アスベストによる健康被害のリスク低減を目的として、アスベストに関する規制が強化されています。特に2021年から2023年までの期間には、改正大気汚染防止法によって段階的に新しいアスベスト規制が施行されました。

新しいアスベスト規制では以下のような内容が導入されています。

アスベスト事前調査の方法の法定化

アスベスト事前調査では、解体前に建築物の設計図書の書面調査と目視調査を行うことが基本とされています。また、アスベストの有無が不明な場合には、建材の採取と分析調査が必要とされます。新たなアスベスト規制では、この事前調査の方法が改正法で明確に定められ、建築物のアスベスト含有状況をより正確に把握することが求められています。

アスベスト事前調査結果の記録と保存

新しいアスベスト規制では、アスベスト事前調査の結果が作業計画と共にまとめられ、3年間保存することが義務付けられました。これにより、アスベストの有無に関する情報が確実に保存され、将来の工事や改修の際にも参照できるようになりました。

作業計画の作成

特定工事の一環として、石綿含有建材の除去工事では、作業計画の作成が新たに義務付けられました。特定工事にはレベル1、レベル2、レベル3の3つのレベルが存在し、各レベルごとに作業計画が立てられます。ただし、レベル1とレベル2の特定工事においては、「特定粉じん排出等作業実施届出書」の提出により、作業計画の作成を証明する必要があります。

これらの規制の導入により、アスベストによる健康被害や環境への悪影響を最小限に抑えることが目指されています。建設業者や関係者は、規制の内容を正確に理解し、適切な対策を講じることが求められます。

4. 事前調査の重要性

事前調査は、建築物や工作物の解体や改修工事において欠かせない活動です。主な目的は、特定建築材料であるアスベストの有無を調査することです。事前調査を行うことで、建築物内や工作物に含まれるアスベストの存在を正確に把握できます。

以下に、事前調査の重要性を示します。

健康被害の防止

アスベストは長い繊維であり、吸入すると呼吸器系に悪影響を及ぼすことが分かっています。アスベストによる健康被害は、長期的な暴露によって発生しますので、事前調査によってアスベストの有無を正確に把握し、必要な対策を講じることが重要です。これにより、労働者と周囲の人々の健康被害を防止することができます。

法的要件の遵守

建築物や工作物の解体や改修工事には、特定の規模や請負代金を超える場合、法的な要件が存在します。例えば、床面積が80平方メートル以上の建築物の解体工事や、請負代金が100万円以上の改造工事では、事前調査結果の報告が必要とされます。事前調査を適切に行うことで、法的要件を遵守し、適切な手続きを行うことができます。

提案や予算の立案に役立つ

事前調査によって、建築物や工作物に含まれるアスベストの有無が把握できるため、解体や改修工事において予想される作業範囲やコストを正確に見積もることができます。これにより、事前に適切な提案や予算の立案が可能となります。

事前調査は健康被害の防止、法的要件の遵守、提案や予算の立案など、多くの面で重要な役割を果たしています。建築物や工作物の解体や改修工事に取り組む際には、事前調査を適切に行い、早期に問題を発見し正確な対策を行うことが大切です。

5. アスベスト対策工事の流れ

アスベスト対策工事を進める上で重要なステップがいくつかあります。以下にその流れを説明します。

事前調査と説明

まずは事前調査を行い、アスベスト含有建材の有無を確認します。
調査結果に基づいて、工事計画書を作成し、説明方法を決定します。

住民への説明会や資料配布

関係する住民に対して説明会を開催したり、個別に訪問したりして説明します。
説明会の日程や場所、資料の配布終了日などは、事前に周知されます。

施工業者の選定と工事計画の作成

アスベスト含有建材の除去や飛散防止のために、施工業者を選定します。
元請業者または自主施工者は工事計画書を作成し、アスベスト対策の措置や作業期間、作業時間などを明確にします。

作業の実施

アスベスト対策のための措置を実施します。具体的には、吹付けアスベストの除去や飛散防止作業などが含まれます。
下請負人が作業を行う場合は、現場責任者の氏名や連絡先の確認も忘れずに行います。

監視と報告

アスベストの飛散状況を監視し、報告書を提出します。
元請業者または自主施工者は現場責任者として、下請負人の現場責任者の氏名と連絡先も報告します。

資材の搬入・廃材の搬出・工事車両の経路

アスベスト対策に必要な資材の搬入経路や廃材の搬出経路、工事車両の経路を確認します。

現場責任者と連絡先の確認

元請業者または自主施工者の現場責任者の氏名と連絡先を確認します。
下請負人が作業を行う場合は、その現場責任者の氏名と連絡先も確認します。
これらのステップを適切に実施することによって、アスベストの除去や飛散防止策が効果的に行われ、関係する住民や作業者の健康を守ることができます。アスベスト対策工事は法律で厳しく規制されているため、計画と実施には注意が必要です。

まとめ

アスベストは、かつて建築や工業製品の材料として広く使用されていた鉱物です。しかし、その有害性が明らかになり、さまざまな規制が設けられてきました。近年の改正により、事前調査の徹底、作業計画の策定、飛散防止対策の強化など、アスベスト対策がより一層重要になっています。建設関係者は、アスベスト問題に対する正しい理解と適切な対応が求められます。健康被害の防止と法令遵守のためにも、事前調査の実施や計画的な工事実施が不可欠です。アスベスト対策は、現場の安全と環境保護の両面で、より一層の取り組みが必要とされています。

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