アスベストの恐怖 - いつまで使われ続けていたのか?健康被害と規制の歴史

アスベストの健康被害が深刻な問題となっている中、アスベストについての正しい知識を持つことは重要です。本ブログでは、アスベストとはどのようなものか、なぜ使用されてきたのか、健康被害とは何か、そして規制の歴史について詳しく解説していきます。アスベストの問題に関心がある方は、ぜひこのブログを参考にしてください。

1. アスベストとは何か

アスベスト(石綿)とは、耐火性や断熱性、防音性、絶縁性などの特性を持つ鉱物繊維です。建築資材や工業製品などで広く使用されていましたが、その健康被害が問題視され、現在では製造と使用が禁止されています。

アスベストの特性は以下のようにまとめられます。

耐火性

アスベストは非常に耐火性が高く、建物の耐火性を向上させる役割があります。火災の際に建物の被害を最小限に抑えることができます。

断熱性

アスベストは熱を遮断する能力があり、建物の保温効果を高めます。冷暖房の熱を逃がさずに建物内の温度を安定させることができます。

防音性

アスベストは音を吸収する特性があり、建物の騒音対策に役立ちます。音楽や声の反響を軽減し、居住環境の快適さを向上させる効果があります。

絶縁性

アスベストは電気を通しにくい性質があります。そのため、電気装置などで使用され、誘電体として機能します。

アスベストは低コストで入手できるため、日本の高度成長期の1955年から1960年代にかけて特に建築資材として広く利用されました。しかし、アスベストの使用による健康被害が明らかになると、規制が行われるようになり、現在では代替材料への移行が進められています。

次のセクションでは、アスベストの使用が広がった理由について説明します。

2. アスベストが使用されていた理由

アスベストが建材や工業製品に使用された理由は、以下の特性がありました。

耐火性

アスベストは非常に高い耐火性を持っており、熱に強い性質がありました。そのため、建築物や機械の一部に使用することで、火災のリスクを低減することができました。

断熱性

アスベストは優れた断熱性を持っています。建築物の内部や機械部品の保温材として使用され、熱の損失を抑えることができました。

防音性

アスベストは騒音を吸収する能力がありました。そのため、建築物や車両などの内部での騒音を軽減するために使用されました。

絶縁性

アスベストは電気を通しにくい性質を持っています。このため、電気部品や配線などの絶縁材として使用されました。

化学薬品への耐久性

アスベストは酸やアルカリなどの化学薬品にも強い耐久性を持っています。このため、化学プラントや工業製品などの製造過程で使用されました。

低コスト

アスベストは比較的安価に入手することができました。そのため、建材や工業製品の材料として経済的であるという利点がありました。

これらの特性から、アスベストは多くの建材製品や工業製品に使用されました。その特性と経済性から重宝されていましたが、健康被害が判明したことで、その使用が問題視されるようになりました。

3. アスベストの健康被害

アスベストの健康被害には、潜伏期間が長く、中皮腫や肺がんなどの疾患が含まれます。

アスベストと中皮腫

中皮腫は、通常20~50年の潜伏期間を経て発症することが知られています。アスベストを吸い込むと、アスベスト繊維が肺胞にたまり、それが炎症を引き起こすことで中皮腫が発生します。ただし、アスベストにばく露した方が必ずしも中皮腫になるわけではありませんが、中皮腫の発症リスクはアスベストとの関連性が認められています。

アスベストと肺がん

アスベストによる肺がんのリスクも高まることがわかっています。ただし、短期間での低濃度ばく露による肺がんの危険性については不明な点が多いです。現時点では、アスベストの吸引量と肺がんの発症リスクの具体的な関係はまだ解明されていません。

アスベストの健康被害の総合的な理解

アスベストを吸い込んでもすぐに病気が発症するわけではありません。アスベストの健康被害は数十年の潜伏期間を経て現れることがあり、呼吸困難や咳、胸痛などの症状を引き起こす可能性があります。ただし、アスベストにばく露したからといって必ずしも病気になるとは限らず、個人の体質やばく露したアスベストの量などによってリスクは異なります。

アスベストの健康被害に関心がある方や症状がある方は、近くの労災病院や専門医療機関に相談することをおすすめします。

4. アスベスト規制の歴史

アスベスト規制は、以下の段階で進められてきました。

(1) じん肺法の制定

・1960年にじん肺法が制定されました。
・じん肺法はじん肺と呼ばれる肺の疾病に対する規制措置を定めています。
・労働者への定期的なじん肺健康診断の実施が義務付けられました。

(2) 特化則の制定

・1971年に特化則が制定されました。
・アスベスト粉じんが飛散する屋内作業場において、規定が定められました。
・局所排気装置の設置、呼吸用保護具の備え付け、立ち入り禁止などの対策が義務付けられました。
・アスベストを製造・取り扱う作業場には特定化学物質等作業主任者の選任が義務付けられました。
・アスベスト製造・取り扱いの屋内作業場では、半年に1回の空気中の濃度測定が義務付けられました。

(3) 安衛法の制定

・1972年に安衛法が制定されました。
・アスベストばく露の防止対策を強化するための法律です。
・定期的な自主検査やアスベスト被害者の健康診断にかかる費用負担の軽減などの規定が設けられました。

(4) 特化則の改正|5重量%を超えるアスベストの吹き付け作業の原則禁止

・1975年に特化則が改正され、5重量%を超えるアスベストの吹き付け作業が原則として禁止されました。
・これにより、アスベスト含有量が5gを超えるアスベスト含有吹付材を用いた吹き付け作業が禁止されました。

(5) 安衛令、安衛則及び特化則の改正|アモサイト・クロシドライト製品の製造等の禁止

・1995年に安衛令、安衛則及び特化則が改正され、アモサイト・クロシドライトの製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されました。
・アモサイト・クロシドライトは石綿の中で最も発がん性が高いとされています。
・特化則の改正では、これまで5重量%を超えるアスベストが規制対象だったのが、1重量%超まで拡大されました。

(6) 安衛令の改正|アスベスト製品10品目の製造等の禁止

・2004年に安衛令が改正され、アスベストを含有する10種類の製品の製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止されました。
・これには、石綿セメント円筒、押出成形セメント板、住宅屋根用化粧スレート、繊維強化セメント板、窯業系サイディング、クラッチフェーシング、クラッチライニング、ブレーキパッド、ブレーキライニング、接着剤が含まれます。

(7) 安衛令の改正|アスベスト製品の全面禁止

・2006年に再度安衛令が改正され、0.1重量%を超えるアスベスト製品の製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されました。
・この改正により、事実上アスベスト製品の製造等は完全に禁止されました。
・現在ではアスベストの使用は事実上行われていない。

5. アスベストが使用されていた製品や場所

アスベストは、さまざまな建築資材や工業製品に広く使われていました。以下では、アスベストが使われていた主な製品や場所を紹介します。

建築資材での使用箇所

・外壁・屋根・軒裏・煙突 住宅や倉庫などの外部装飾や保護にアスベストが使用されていました。

・鉄骨の柱や梁(はり) ビルや公共施設などでアスベストが含まれる材料が使用され、耐火性や断熱性が高められていました。

・天井・壁・床の下地 建物の内装の一部として使用され、断熱や防音の目的でアスベストが機能していました。

・機械室 機械の部品を保護するためにアスベストが使用されていました。

工業製品での使用箇所

・ブレーキ(摩擦材) 自動車やクレーン、エレベーターなどのブレーキライニングやブレーキパッド、クラッチフェーシング、クラッチライニングなどにアスベストが使用されていました。

・シール材やジョイントシート パイプラインの接続部分のパッキングやガスケットなどのジョイントシートに石綿製品が利用されていました。

・電気絶縁材や電気隔膜 アスベスト製品(石綿紙など)が使用され、電気の通じる箇所の絶縁材やソーダ用の電気隔膜に使用されていました。

以上が、アスベストが使用されていた主な建築資材や工業製品の例です。アスベストはその特性からさまざまな用途に使用されていましたが、現在は製造と使用が禁止されています。

注意点として、アスベストの使用が疑われる建物や製品は、専門家による調査が必要です。自己判断は困難な場合がありますので、疑いがある場合は専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

アスベストは優れた特性を持つ鉱物繊維でしたが、長年の研究によりその深刻な健康被害が明らかになりました。日本では1960年代から徐々に規制が強化され、現在では製造と使用が事実上禁止されるに至っています。しかし、旧来の建物や製品にはアスベストが残存している可能性があるため、専門家の調査が必要です。アスベストの危険性を理解し、適切な対応を行うことが重要です。健康と安全を脅かすことのないよう、アスベストの管理と対策を継続的に行っていく必要があります。

⇒アスベスト対策


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