古い建物にアスベストが潜む?年代別アスベスト判断法と適切な対処をご紹介
近年、アスベストの健康被害が深刻な問題となっています。これまで建築物や製品に広く使われてきたアスベストは、その危険性から現在では規制が進んでいます。本ブログではアスベストについて詳しく解説し、自身の建物にアスベストが含まれているかどうかを判断する方法や、アスベストを発見した場合の適切な対処法をご紹介します。アスベスト問題に対する理解を深め、健康被害のリスクを軽減するための知識を得ることができるでしょう。
1. アスベストとはどのような物質か?
アスベストは自然に存在する繊維状の鉱物であり、「石綿」とも呼ばれています。この物質は耐火性や断熱性、防音性などのさまざまな特性を持っており、建築現場で広く利用されてきました。
アスベストは非常に微細な繊維状の構造をしており、その太さはわずか0.02〜0.03μm程度です。この構造により、アスベストは非常に強力で耐熱性に優れています。また、アスベストは引っ張られるときにも強さを保ち、薬品にも耐性があります。さらに、熱絶縁性も備えています。
アスベストにはいくつかの種類があります。主なものにはクリソタイル、クロシドライト、アモサイト、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトがあります。
アスベストは長期間の吸入により肺の病気を引き起こす可能性があるため、健康被害が問題となっています。そのため、現在ではアスベストの使用が規制されています。
建築用途ではアスベストは耐火性や断熱性の特性から幅広く使用されましたが、その健康被害が明らかになったことで禁止されました。アスベストが含まれている可能性があるのは、規制前に建てられた建物です。アスベストの有無を判断するためには、アスベスト調査が必要です。
2. アスベストの主な使用場所と使用物
アスベストはその特性の優れたため、さまざまな場所や物品で使用されてきました。以下にはアスベストの主な使用場所と使用物のいくつかを示します。
住宅の建築材料
・外壁、屋根、軒裏、煙突など
・天井、壁、床の下地
・断熱材、吸音材、耐火被覆材
公共施設やビル
・鉄骨の柱や梁
・天井、壁、床の下地
工業製品
・自動車のブレーキやパッキン、ガスケットなど
電気部品の絶縁材
・トースター、冷蔵庫、エアコンなどの家電製品
なお、これらの使用場所や物品が全てアスベストを含んでいるわけではありません。アスベストの使用は、環境や規制の変化によって異なる要因によって影響を受ける可能性があります。アスベストの有無を確認するためには、専門家による調査が必要です。特に古い建物や製品には注意が必要です。
3. アスベスト使用の歴史と規制の経緯
アスベストの使用が広がる前
アスベストが人体に対して健康被害を引き起こすことが分かる以前は、建築物や建材などで広く使用されていました。その耐火性や高い耐久性から、建築業界で重要な役割を果たしていました。
1975年からの規制の始まり
アスベストによる健康被害の認識が高まり、日本では1975年に「特定化学物質等障害予防規則」が改正され、アスベスト含有率が5%を超える吹付け作業が原則禁止とされました。これはアスベスト規制の最初の一歩となりました。
国際的な取り組みと規制の強化
国際的なアスベスト規制の流れも進展しました。1986年には国際労働機関(ILO)の石綿条約により、クロシドライト(青石綿)の使用と吹付け作業が禁止されました。また、クリソタイル(白石綿)も管理使用の対象とされました。これによって、アスベスト使用に対する国際的な取り組みが強化されました。
製造・輸入・使用の禁止
1995年には労働安全衛生法施行令や特定化学物質等障害予防規則が改正され、アモサイト(茶石綿)とクロシドライト(青石綿)の製造・輸入・使用が全面的に禁止されました。さらに、アスベスト含有率が1%を超える吹付け作業も禁止されました。これにより、アスベストの使用は大幅に制限されました。
建材などへの規制の強化
2004年の労働安全衛生法施行令の改正により、アスベスト含有率が1%を超える吹付け材だけでなく、建材、摩擦材、接着材などへの使用も禁止されました。これによって、ほとんどのアスベストの使用が終了しました。
全面的なアスベスト使用禁止
2006年の労働安全衛生法施行令の改正により、アスベスト含有率が0.1%を超える製品の製造・輸入・使用も禁止されました。これによって、アスベストの使用は実質的に全面的に禁止されました。
アスベストの使用は過去には広く行われましたが、健康被害の危険性が明らかになり、厳格な規制が導入されました。現在ではほとんどの場所でアスベストは使用されていません。アスベスト規制の進展は、人々の健康と安全を守るために欠かせない取り組みとなりました。
4. 自身の建物にアスベストが含まれているかの判断方法
自分の建物にアスベストが含まれているかどうかを確認するためには、以下の方法を参考にしてください。
アスベスト調査を依頼する
アスベストの有無を確定的に知るためには、専門の機関にアスベスト調査を依頼することが重要です。アスベスト調査では、以下の3つの手順を経て、様々な観点からアスベストの有無を判断することができます。
①事前調査
②目視調査
③分析調査
建物の築年数を考慮する
建物の築年数は、アスベストの有無を判断する際に重要な指標となります。一般的には、2006年以前に建てられた建物にはアスベストが含まれている可能性が高いです。しかし築年数だけで確定的な判断はできません。アスベストの使用が規制された後の建築物や建材にもアスベストが含まれているリスクがあるため、注意が必要です。
建材の外観や質感を確認する
アスベストを含む建材は、特徴的な外観や質感を持っています。吹付け材やフローリング材などは、見た目が綿状で触れると崩れやすくなっています。スレートや波板には石綿が含まれていることが多く、平滑な面やごつごつした質感があります。建材の外観や質感を確認することで、アスベストの有無をある程度判断できます。
リスクの高い箇所を重点的に調査する
アスベストは、屋根や外壁、洗面所やトイレの床・壁、配管周りなど、特定の箇所に使用されることが多いです。これらの箇所はアスベストを含んでいる可能性が高いので、特に注意が必要です。建物内のこれらの箇所を重点的に調査して、アスベストの有無を確認しましょう。
アスベストの有無を確認するためには、これらの方法を活用することが重要です。ただし、アスベストの判断は専門的な知識や装備が必要な場合がありますので、確定的な判断は専門の機関に依頼することをおすすめします。自身や家族の健康を守るためにも、定期的にアスベストの有無を確認し、適切な対処を行うことが大切です。
5. アスベストを発見した場合の対処法
アスベストを発見した場合には、適切な対処法が必要です。以下ではアスベストを発見した場合の対処法について詳しく説明します。
専門機関に相談する
アスベストを含む可能性のある建材を見つけた場合、まずは専門機関に相談しましょう。アスベスト調査会社や解体業者、地元の公衆衛生センターや労働基準監督署など、アスベストに詳しい専門機関に連絡してみることが重要です。これらの機関は、専門的なアドバイスを提供してくれます。
相談する際のポイント
相談する際には、以下の情報を事前に準備しておくことがスムーズな対応につながります。
・建物の築年数と場所
・石綿製品の使用状況(損傷や破損の有無、面積など)
・使用されている建材の情報や図面など
これらの情報を伝えることで、より正確なアドバイスや対応策を得ることができます。
アスベスト調査と除去の手順
アスベストが疑われる場合は、まず調査を行って実際にアスベストが含まれているかどうかを確認する必要があります。アスベスト調査は、国が定めた講習や試験を修了した専門家が行います。調査の結果、アスベストが検出された場合は、除去工事が必要になります。アスベストの除去は、専門の業者に依頼する必要があります。
アスベスト調査の費用と見積もり
アスベスト調査の費用は、一般的に1現場あたり10〜100万円とされていますが、実際の費用は調査する建物の広さやアスベストの量、除去作業の規模によって異なります。また、調査と除去を一緒に依頼する場合、費用を削減することができることもあります。事前に各機関や業者のホームページから料金を確認し、見積もりを依頼しましょう。
自主的な対処は避ける
アスベストを含む可能性のある建材を見つけた場合は、決してむやみに触ったり剥がしたりしないようにしましょう。自己判断せず、必ず専門機関に相談することが重要です。安全のためには、適切な専門家による調査と処理を依頼しましょう。
以上のように、アスベストを発見した場合の対処法は、専門機関に相談することや調査・除去工事の手順を確認することが重要です。自主的な対処は避け、専門家の助言を仰ぎながら適切に対処しましょう。
まとめ
アスベストは以前は建築材料などで広く使用されていましたが、その健康被害が明らかになり、厳格な規制が導入されて現在ではほとんど使用されなくなりました。しかし、旧来の建物にはアスベストが残留している可能性があるため、建物の所有者は専門家に相談し、適切な調査と除去を行うことが重要です。アスベストの存在は見逃されやすいため、定期的な点検と確認が必要不可欠です。建物の安全と住民の健康を守るためにも、アスベストについての正しい知識を持ち、専門家の支援を得ながら対処することが大切です。
株式会社ペガサス
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