【アスベスト含有建材】建物の安全対策と見分け方
最近、建物の解体工事や改修において、アスベスト含有建材の取り扱いが問題視されています。本ブログでは、アスベスト含有建材の定義、規制の歴史、見分け方、そして吹付け材や保温材など主要な建材におけるアスベスト含有の可能性について詳しく解説します。建物の安全性を守るためにも、この問題を正しく理解することが重要です。
1. アスベスト含有建材とは
建材の中に含まれるアスベストの量が0.1%以上である繊維状の天然鉱物を指します。アスベスト含有建材は、建物が解体される際などに注意が必要であり、法律で規制されています。
アスベストは非常に飛散しやすく、健康への影響が指摘されているため、アスベストが含まれているかどうかを確認する必要があります。一般的に、アスベストの使用が規制された後に建物や建材が作られた場合、アスベストは含まれていないとされています。
アスベスト含有建材を見分けるためには、検査が最も確実ですが、以下では建物や建材の製造時期に基づいて見分ける方法を紹介します。
建物の年代を確認する:アスベストの使用が規制されたのは1975年以降です。したがって、1975年以前に建てられた建物にはアスベスト含有建材が使用されている可能性が高いのです。
建材のリストにアスベスト使用の有無が記載されている場合があります。建物所有者や施工業者に問い合わせることで確認ができます。
特定の建材の場合、外観や形状からアスベストの可能性が高いものがあります。例えば、白色繊維状の断熱材や茶色い浜砂状の吹き付け材などはアスベストを含んでいる可能性があります。
アスベスト含有建材を見極めるためには、専門の機関による検査が最も確実ですが、上記の方法を参考にして自身でも判断することができます。特に古い建物や建材を扱う際には、確実な対応が必要です。
2. アスベスト規制の歴史
アスベストの規制は段階的に進められてきました。以下では、アスベスト規制の歴史について詳しく説明します。
1975年
クリソタイルの吹付け使用が禁止される
最初のアスベスト規制は、1975年にクリソタイルと呼ばれるアスベストの一種に対して行われました。この規制では、クリソタイルの吹付け使用量が5重量%を超えることが禁止されました。
1995年
規制対象の追加と基準の変更
1995年には、規制対象がクリソタイルだけでなく、アモサイトとクロシドライトというアスベストの種類も含まれるようになりました。また、アスベストの含有量が1重量%を超えることも禁止されました。
2004年
規制対象の拡大
2004年には、吹付け材以外のアスベスト含有製品の中に、1重量%を超えるものが10品目存在することが明らかになりました。これにより、これらの製品も規制対象に追加されました。
2006年
アスベスト規制の強化
2006年には、アスベスト規制がさらに強化されました。この改正法では、アスベストの規制対象は全6種類に拡大され、製品中のアスベスト含有量が0.1重量%を超える場合の製造、輸入、使用、譲渡、提供が禁止されました。ただし、一部の製品については代替品がまだ存在しないため、猶予期間が与えられました。
2012年3月
アスベスト製品の完全な禁止
最終的に、2012年3月にはアスベスト製品の全ての製造が禁止されました。これにより、アスベストによる健康被害を完全に防ぐことが目指されました。
アスベスト規制は、アスベストが肺がんや中皮腫の原因となることから行われています。労働安全衛生法では、1996年に石綿障害予防規則が追加され、建物解体時には適切な調査と対策が求められています。
現在、アスベストの使用は全面的に禁止されており、規制はますます厳しくなっています。したがって、建築物や建材にアスベストが含まれているかどうかを確認するには、分析機関に依頼する必要があります。
3. アスベスト含有建材の見分け方
アスベストを含んだ建材を見分けるためには、書面調査と目視調査を組み合わせて行う必要があります。以下では、建材がアスベストを含んでいるかどうかを判断する方法をまとめます。
書面調査と目視調査の組み合わせ
建材のアスベストの有無を判定するためには、書面調査と目視調査を組み合わせて行うことが求められます。書面調査では、建材情報の相違がないかを確認し、その後に目視調査を行うことで建材のアスベストの有無を判断します。この方法は法律で義務付けられています。
ただし、書面調査と現地調査で相違がある場合は、目視調査を優先する必要があります。また、アスベストが含まれないことを証明するためには、特定の建材についてはアスベスト分析が必要です。メーカー資料を根拠とする場合は、商品名やメーカー名、ロット番号などから対象建材を特定できるように目視調査を行う必要があります。
アスベストの見分け方一覧
以下に、アスベストの含有建材を見分けるための方法をまとめます。ただし、本記事はできる限り正確な情報を提供していますが、正確性を保証するものではありませんので、注意が必要です。
・石綿含有建材は破砕や切断時にアスベストの飛散が発生しやすいため、レベルという分類があります。レベル1は最も飛散性が高く、レベル3は比較的飛散しにくいとされています。
・建築物の着工年代からもアスベストの有無を判定することができます。
レベルの分類
レベル1
石綿含有吹付け材(耐火建築物のはりや柱などに使用され、非常に高い飛散性を持つ)
レベル2
石綿含有保温材・耐火被覆材・断熱材(ボイラ本体や配管、空調ダクトなどに使用され、高い飛散性を持つ)
レベル3
その他の石綿含有建材(建築物の天井や壁、床などに使用され、比較的低い飛散性を持つ)
建築物の着工年代から判定
アスベスト事前調査では、最初に行う書面調査で建築物の着工日を確認します。以下の条件に当てはまる場合は、「アスベスト無し」と判定することができます。
・工事対象の建築物が2006年9月1日以降に着工した場合
・書面調査で着工日が確認できる場合
着工日を確認するための書類
着工日を確認するためには、登記事項証明書(登記簿謄本)や建築確認済証などの書類が使用されます。これらの書類を用意し、着工日を確認します。
また、一部の工作物については、着工日が異なる場合があるため、より詳細な確認が必要です。ガスケットやグランドパッキンの場合には、特に注意が必要です。
以上がアスベスト含有建材の見分け方の概要です。建築物や建材の安全性を確保するためには、専門機関への依頼が必要です。ただし、本記事は参考情報として提供されており、正確性の保証はありません。詳細な情報や専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
4. 吹付け材におけるアスベスト含有の可能性
建築や施工時に使用される吹付け材は、一部の場合にアスベストを含んでいる可能性があります。吹付け材は、通常乾燥した材料と水を混合して作られ、施工には吹付け工法が使われます。
1 吹付け材の施工方法
吹付け材は、主に以下の3つのタイプで施工されます
乾式工法
セメントを含んだ乾燥した材料と水を混ぜ、母材に吹き付ける方法。
半乾式工法
セメントを含まない乾燥した材料とセメントミルク(セメントと水の混合物)を吹き付ける方法。
湿式工法
事前に混練られたペースト状のスラリーと圧縮空気を混ぜ、母材に吹き付ける方法。
2 吹付け材の特徴と注意点
吹付け材はアスベストを含む可能性がありますが、施工現場によってばらつきがあります。形状を選ばず、不定形な材料として使用されます。吹付けによる施工のため、一般的には低密度な材料になります。
しかしながら、吹付け材は強度が低く、振動や経年劣化により剥離や削れが生じる可能性があります。また、吹付け後の表面を均して仕上げるため、吹付け工法か他の工法か判断するのは困難です。
3 アスベスト含有材料の確認方法と注意点
アスベスト含有の吹付け材を見分けるためには、外見の特徴や貫入度、材料の色や光沢などを確認することが有効です。また、建築物の図面を参考にすることも重要です。
アスベスト含有の吹付け材を取り扱う際には、適切な対策が必要です。特に、吹付け材が使用された場所のメンテナンスや取り扱いには注意が必要です。アスベストの粉じんが発生したり、吹付け材が劣化した場合には、適切な対処が必要です。
4 アスベスト含有の吹付け材が及ぼす影響
吹付け材に含まれるアスベストは、建物や建材の耐久性や安全性に影響を与える可能性があります。個人の住宅など、アスベスト含有材料がよく使用される場所では、注意が必要です。
アスベストに関する情報を正確に把握し、適切な処理を行うことが重要です。建物内でアスベスト含有の吹付け材を取り扱う際には、適切な対策を講じる必要があります。
5. 保温材・断熱材・耐火被覆板におけるアスベスト含有の可能性
建築物の断熱や耐火性能を向上させるために使用される保温材、断熱材、および耐火被覆板には、アスベストが含まれている可能性があります。アスベスト含有の材料には以下のような種類があります。
保温材
保温材には、かつてアスベスト含有の保温材が使用されていましたが、1987年までにその製造は終了しました。現在は以下の種類の保温材が使用されています。
・珪藻土保温材
・ケイ酸カルシウム保温材
・バーミキュライト保温材
・パーライト保温材
1989年以降に建築や施工された場合には、アスベストを含んでいないと考えられます。
断熱材
断熱材には、煙突用断熱材と屋根用断熱材があります。煙突用断熱材は導入時期が不明ですが、屋根用断熱材は1958年頃から使用されていました。煙突用断熱材は1991年まで製造され、屋根用断熱材は1983年まで製造されていました。
これらの断熱材も一部にアスベストを含有していましたが、1989年以降にはアスベストを含まない材料に切り替わっています。
耐火被覆板
耐火被覆板には石綿耐火被覆板とケイ酸カルシウム板があります。石綿耐火被覆板は1963年頃から使用され、1983年まで製造されていました。一方、ケイ酸カルシウム板はアスベスト含有率の低さから2004年まで製造されていました。
現在では、耐火被覆板もアスベストを含まない素材が使用されるようになっています。
このように、保温材、断熱材、および耐火被覆板にはかつて一部でアスベストが含まれていました。しかし、1989年以降の製造中止措置により新たに建築や施工された場合にはアスベストを含んでいないと考えられます。分析を行う際には専門の機関に依頼し、建築物の設計図書や図面を参考にしながら判定することが重要です。アスベストの有無を正確に判定するためには、専門家の支援を受けることをおすすめします。
まとめ
建築物のリフォームや解体作業を行う際は、アスベスト含有の可能性を慎重に確認する必要があります。アスベストの過剰ばく露は健康被害につながるため、建築物の年代や建材のリストなどを確認し、必要に応じて専門機関による分析を行うことをおすすめします。また、アスベスト含有の可能性がある場合は、適切な処理が求められます。建築物の安全性を確保するためには、アスベスト問題への十分な理解が重要です。
株式会社ペガサス
住所:埼玉県所沢市小手指町3-22-1-306
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