【重要】アスベスト全面禁止からわかること - 平成24年の決断がもたらした影響

アスベストは建築資材や工業製品に広く使われてきましたが、健康被害の問題が次第に明らかになってきました。このブログでは、アスベストの特性と歴史、健康被害の実態、そして対策としての規制の経緯について詳しく説明していきます。アスベスト問題は、私たち一人一人の生活環境や労働環境に深く関わる重要な課題であり、正しい理解が欠かせません。

1. アスベストとは何か

アスベストの定義

アスベストは、自然に存在する繊維状の鉱物の総称で、地殻の中で長い時間をかけて形成されたものです。主に、6つの異なる種類に分類されます。これらは以下の通りです:

・クリソタイル
・アモサイト
・クロシドライト
・アンソフィライト
・トレモライト
・アクチノライト

アスベストの特性

アスベストの特徴は、その優れた物理的特性にあります。特に以下の点が評価されています。

耐熱性: 高温でも変形しにくく、炎に対して強いです。
耐久性: 劣化が少なく、長期間使用することができます。
絶縁性: 電気を通さない特性があり、電気製品にも利用されました。
耐摩耗性: 摩擦や擦り切れに対しても強い素材です。

これらの特性から、アスベストは建材や複合材料、工業製品など多様な用途で利用されてきました。

アスベストの歴史

アスベストは古代から使用されており、特にローマ時代には火に強い布として衣服に使用されていました。19世紀から20世紀初頭にかけて、工業化が進む中で、アスベストの需要は飛躍的に増加しました。多くの建物や工業製品にはアスベストが含まれており、その実用性が広く認識されていました。

アスベストの分類

アスベストは主に二つのグループに分けられます

蛇紋石(セラフィリュム)系: これはクリソタイル(白アスベスト)を含みます。
角閃石(アモフォルノ)系: アモサイト(茶色アスベスト)、クロシドライト(青アスベスト)などが含まれます。

これらの異なるタイプは、それぞれ異なる特性を持ち、産業用途や健康リスクも異なります。

使用されている場所

アスベストは様々な場所で使用されていました。主に以下のような用途が一般的でした

建材: 屋根材、外壁材、断熱材など。
自動車: ブレーキパッドやクラッチなどの摩耗部品で利用されていました。

その他の工業製品: パッキング材や防火材など、多岐にわたります。
このように、アスベストは工業界において非常に重要な資源として利用されてきた一方で、その健康リスクが後に問題視されることとなります。

2. アスベストの健康被害

アスベストの特性と影響

アスベストは、その耐熱性や断熱性に優れた特性から、過去に広く使用されてきました。しかし、アスベストの粉塵を吸引することで、深刻な健康問題が引き起こされることが判明しています。特に、アスベストは肺に蓄積しやすく、長期間にわたって影響を及ぼすことが特徴です。

潜伏期間の長さ

アスベストの健康被害は、吸引から発症までに長い潜伏期間を持つことが多く、患者はしばしば20年以上経過してから症状が現れることがあります。これは、悪性中皮腫や肺癌といった重篤な疾患を引き起こす要因となります。具体的には、これらの疾患にかかる危険性が、アスベストにばく露された労働者やその周囲に住む人々にとって増加します。

主な疾患

アスベストによる健康被害には、以下のような主な疾患が含まれます。

悪性中皮腫

アスベストに特有な疾患であり、主に胸膜や腹膜に影響を及ぼします。早期発見が困難で、通常は進行した段階で診断されることが多いです。

肺癌

アスベストのばく露は、特に喫煙者において肺癌のリスクを大幅に増加させます。肺癌もまた、アスベストの影響を受けた人々に多く見られる疾患です。

良性の肺疾患

アスベストによる健康被害は、悪性疾患だけでなく、肺線維症や重度の呼吸器系疾患を引き起こすこともあります。

職業性ばく露とリスク

アスベスト被害の大部分は、建設業、製造業、船舶産業などの現場で職業的にばく露された人々から発生しています。これらの業界では、アスベストの取り扱いが日常の作業の一部であったため、労働者やその家族にとってリスクが高い状況が続いていました。

アスベストの影響を受けたコミュニティ

アスベストの健康被害は、必ずしも直接的なばく露に限られるわけではありません。多くのケースでは、アスベストを取り扱っていた職場近くに住む人々も健康被害を受けています。これにより、アスベスト問題が単なる労働安全の課題を超えて、社会全体の健康に影響を与える深刻な問題となっています。

統計と深刻さ

アスベスト関連の疾患による死亡者数は、年々増加しており、日本においては特に中皮腫の死亡者が顕著に増加しています。これらの疾患が急増する背景には、過去にさかのぼるアスベストばく露が影響を及ぼしていることが明らかです。

アスベストの健康被害は、単なる個人の問題だけでなく、社会全体の健康と安全に関わる重要な課題であり、これに対する適切な理解と対策が求められています。

3. アスベスト規制の歩み

アスベストはその耐火性や絶縁性に優れた特性から、20世紀初頭から幅広く使用されてきました。しかし、その健康への悪影響が明らかになるにつれ、アスベストに対する規制は強化されてきました。このセクションでは、アスベストに関連する規制の歴史をたどります。

1960年代の始まり

じん肺法の施行(1960年)

1960年、アスベストによる健康への影響が顕著になり始めたことを受けて、じん肺法が施行されました。この法律は、労働者が粉じんにさらされるリスクから守ることを目指し、粉塵作業に従事する労働者に対して健康管理が義務付けられました。

1970年代の規制強化

大気汚染防止法の制定(1971年)

アスベストが「特定粉じん」に分類され、工場などからの大気中への排出についての規制が強化されました。この法改正により、アスベストの濃度基準が設けられ、関連する事業者には届出が義務付けられました。

特定化学物質等障害予防規則の施行(1971年)

同年、特化則が施行され、アスベストが有害な化学物質として公式に規制されることとなりました。企業は従業員に対して安全な作業環境を提供する責任が求められ、教育や健康診断の実施が義務化されました。

1990年代のさらなる規制の進展

特定アスベスト製品の製造禁止(1995年)

アモサイトやクロシドライトといった特定のアスベスト製品について、製造および輸入が禁止されることとなりました。この禁止措置により、高リスクのアスベスト製品の流通が大幅に減少し、公共の健康リスクの軽減に寄与しました。

アスベストを含む建材の規制強化(2004年)

アスベストを含む建材の製造が禁じられ、建築物に対する安全基準が厳格化されました。この措置により、過去に使用されたアスベスト含有建材の管理も強化され、解体作業時の安全対策が義務化されました。

2000年代の全面禁止

アスベスト使用の全面的禁止(2006年)

2006年に、アスベストを含む全ての製品の製造、使用、譲渡が法律で禁止されることとなりました。この改正によって、日本国内におけるアスベストの使用はほぼ完全に停止し、残存アスベストの適切な管理が新たな課題として浮上しました。

石綿障害予防規則の整備(2005年)

アスベスト作業に関する専門的な規則が施行され、事前調査や作業記録の保存など安全な取り扱いを推進するための措置が強化されました。

現在のアスベスト規制とその展望

アスベストに関連する法令は絶えず見直され、新しい条例の制定が続いています。これにより、既存の建物におけるアスベストの適正処理と、将来的な健康被害の予防に向けた取り組みが進められています。企業や関係者は、改正統治を十分に理解し、その遵守がこれまで以上に求められています。

4. アスベスト全面禁止までの道のり

アスベストは、優れた耐火性と絶縁性から、過去にさまざまな建材や製品に広く利用される素材でしたが、その健康への悪影響が明らかになるにつれて、使用に関する規制が徐々に強化されてきました。このセクションでは、アスベストの使用が完全に禁止されるまでの過程を詳しく見ていきます。

1960年代における初期の対応

1960年に「じん肺法」が施行され、アスベストに関連する健康リスクに対処するための最初のステップが踏み出されました。この法律は、アスベストを扱う作業員を保護することを目的としていましたが、当時はその危険性が十分に認識されていなかったため、労働環境の安全面での改善は限定的でした。

1970年代の規制強化

1971年に施行された大気汚染防止法により、アスベストは「特定粉じん」として位置付けられ、排出規制が強化されました。この法律により、工場から排出されるアスベストの量が制限され、安全な作業環境の確保が目指されるようになりました。また、特定化学物質等障害予防規則が制定されたことで、アスベストを扱う現場での厳格な安全管理が求められるようになりました。

2000年代の重要な変化

2004年には、アスベストを含む製品の製造が1重量%を超える場合は禁止され、さらに2006年にその基準が0.1重量%に引き下げられました。これによって、アスベスト使用に対する規制は厳格化され、その危険性が広く知られるようになりました。この時期には、消費者や業界から規制強化を求める声が高まりました。

2012年の全面禁止

2012年、ついにアスベストの使用が全面的に禁止される法律が施行されました。これにより、アスベストを含む全ての材料や製品の使用が禁止されました。しかし、過去に使用されたアスベストを含む建物が未だに多く存在し、それに伴う管理や処理が新たな課題として浮上しています。

既存アスベストへの対策

全面禁止が実施されても、過去の使用の影響は根強く残っており、多くの建物には未だアスベストが含まれています。そのため、アスベストの安全な管理や除去が重要な課題となっています。アスベストの除去には専門の知識と技術が必要であり、法令に基づいた適切な手続きが求められます。

法律の見直しと新たな取り組み

アスベストの全面禁止後も、関連する法律や規則の適切な見直しが続いています。安全な作業環境を確保するための施策がさらに強化され、特にアスベスト除去作業に対する規制が厳格化され、より安全な管理体制が確立されています。

5. 全面禁止後の課題と対策

アスベストの全面禁止が実施された後も、依然としていくつかの課題が残されており、これらに対する適切な対策が求められています。以下に主な課題とその対策を整理しました。

5.1 既存アスベストの管理

アスベストの全面禁止により新たな使用は阻止されましたが、過去に使用されたアスベストが依然として多くの場所に残っています。特に、以下の点が問題となります。

存在の把握と管理

既存のアスベストがどこに存在するのか、誰が管理するのかについての明確な指針が不足しています。所有者や事業者に対する義務が法律で定められていないため、状況の把握と適切な管理が進んでいません。

除去・廃棄の計画

既存アスベストの除去や廃棄を計画的に行える法律がなく、いつ、どのように除去すべきかの指示も欠如しています。このため、アスベストへの再曝露のリスクが残っています。

5.2 アスベスト混入の問題

近年、「再生砕石」へのアスベスト混入が報告されており、これは不適切な解体作業や廃棄物の処理に起因しています。政府は点検や指導を行っていますが、状況は改善されていないとされています。

正確な検査と監視の強化

解体現場や破砕施設における監視体制の強化が求められています。法令遵守を徹底し、アスベスト混入の根絶を図るためには、定期的なパトロールが必要です。

5.3 外国産及び国内産鉱物の管理

外国から輸入される鉱物にアスベストが混入している事例が報告されており、これに対する対策が急務です。

輸入業者への監視

特にタルクやセピオライト、ブルサイトといった鉱物に対する検査を強化し、アスベストの混入を防ぐ必要があります。製品の成分に対する適切なチェックが求められます。

国内産鉱物の安全確認

国内で採掘される鉱物にもアスベスト汚染のリスクがあるため、採掘作業における健康リスクの評価と管理が求められます。

5.4 廃棄物処理と地域の安全性

アスベストを含む廃棄物の適切な処理が行われていない現状では、周辺地域への影響が懸念されます。

地域の除染計画の策定

アスベスト廃棄物が捨てられた土地の除染対策を講じ、再開発にあたってはこれを十分に考慮することが不可欠です。

安全な廃棄物処理場の設置

アスベスト含有廃棄物を適切に処理するための専用の処理場を設け、適正な管理体制のもとで運営することが重要です。

5.5 法令遵守の徹底

法令に基づく対応が適切に行われなければ、アスベストの健康への影響は残ります。

啓発活動の強化

アスベストに関する知識を広めるための啓発活動が重要です。事業者や一般市民に向けた情報提供を増やし、健康への影響や適切な管理方法についての理解を促進する必要があります。
これらの課題に対して、政府と関係団体が連携し、逐次的な対応策を講じていくことが求められています。

まとめ

アスベストの全面禁止は重要な一歩でしたが、既存のアスベスト問題への対応や適切な監視体制の構築、安全な廃棄物処理など、解決すべき課題は依然として多く残されています。関係者の連携と努力により、アスベストが人々の健康と生活に与える影響を最小限に抑えていく必要があります。今後も法規制の強化や地域の安全性確保、教育・啓発活動の拡充など、総合的な対策を講じていくことが重要だと考えられます。アスベストの脅威から私たちを守るため、官民一体となって取り組んでいくことが求められています。

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